雨音はショパンの調べ

「雨音はショパンの調べ」なんて昔、歌の歌詞にあったけれど……本当にそうね。


実感してる。


貴方と別れて、私は煙草の味も覚えたの。


雨が降るたび、眠れない夜を過ごしながら、ちっとも美味しいとは思えないのに……。

日毎に、煙草の本数が増えた。


煙草を吸ってる貴方の横顔が、好きだった。


煙草を手にした、貴方の指が好きだった。

煙草を吸ってると、貴方が傍にいてくれる気がしてた。


愚かな女ね……。


あれから1年も経つのに。

まだ、貴方を思って泣けるなんて……。

ゆっくりと珈琲を飲み終える。

いつの間にか窓を打つ雨音は、穏やかに優しくなっている。


霧のように煙る雨が時折、銀色に光る。

私は煙草に火を点し、揺れる煙を見つめながら、何度目かの溜め息をつく。


もう、泣かないわ。


私は覚悟を決めて、席を立つ。