「ち、ちょっ…洋輔さん?!離して下さい」
「ダメだ。…もう少しだけ、このままでいて欲しい」
「………洋輔さん…」
「美優が無事で本当に良かった。圭人から報告を受けた時には、心臓が飛び出るかと思った…」
「ごめんなさい…」
「美優を責めるつもりはないんだ。俺がもっと早く行ければ良かったんだが…」
「そんな…。私が洋輔さんの言うことを守ってればあんなことにはならなかったんです。だから悪いのは私です」
「だが、ストーカー被害に合っていたんだから、あの位想定できなかったわけではない。あらゆら可能性を導き出し、危険を回避する。それが、社長である俺には必要なはずなんだが…どうも、美優のこととなると、その感が鈍って、なかなか上手くいかない…」
そう言うと、洋輔は苦笑いしながら、美優のことを離した。
そして、両手で美優の頬を触ると、おでことおでこをくっつけたのであった。

