それから美優は洋輔に連れられるまま、洋輔の車に乗った。
「大丈夫か?」
「はい。助けて頂き、ありがとうございました。洋輔さんと、圭人さんが居なかったら今頃どうなっていたか…」
美優は思い出しただけでも恐怖を感じ、身体を震わせていた。
そんな美優を見た洋輔は、自分の方に抱き寄せた。
車の運転席と助手席では、窮屈を感じるハズではあったが、今はそんなこと感じる余裕もなく、美優は洋輔の抱擁に安心感を感じていた。
「安心しろ。アイツは二度と美優の前には現れない」
「はい…」
「…もし、奴のことで何か知りたいことがあれば答えるが?」
「…彼は一体誰なんですか?」
「…美優と同じ学校に通っていた男だ。一方的に美優に思いを寄せ、妄想が膨らみに膨らんで、自分が美優の彼氏だと思い込んでいたようだ」
「そうですか…」
「見覚えはないのか?」
「はい…。早く自分の物にしようも必死だったので、周りを見る余裕なんてありませんでした…」
「そうか…。他に何か聞きたいことはあるか?」
「いいえ。それだけ知れれば、後はもう大丈夫です」
そう言うと、美優はギュッと洋輔のスーツを掴んでいた。
そんな美優の行動に、洋輔は抱きしめたまま、美優が落ち着くようにと、頭を撫で続けていた。

