先程のことで何か聞かれるのではないかとビクビクしていた美優であったが、予想に反して洋輔は何も聞いて来なかった。
それどころか、全く会話がないのである。
2人の間にある音といったら、車内に流れる音楽くらいしかなく、その音楽が心地良くなった美優は目的地に着くまでそのまま眠ってしまったのであった。
そのまま車は暫く走り続け、そしてようやく目的地に着いたようで、やっと車が止まった。
洋輔はシートベルトを外し、助手席の方へと向いた。
そして、何を思ったのか、美優の頭を撫で始めたのであった。
どのくらいの時間そうしていたのかは分からないが、美優は余りの心地良さに目を覚ました。
そして、洋輔が美優の頭を優しそうな表情で撫でていることに、驚いて飛び上がってしまった。
「よ、洋輔さん。な、何ですか?!」
「余りにも気持ち良さそうに寝ていたからつい…」
まさかそこで美優が起きると思っていなかった洋輔は苦笑いしながらそう答えた。

