喫茶店に入ると、洋輔は美優を窓側の席へとエスコートした。
席に座ると直ぐに店員が駆けつけてきた。
「君は何を飲む?」
「じゃぁ、カフェオレを…」
「俺にはコーヒーを頼む」
「かしこまりました」
注文を受けた店員はそのままその場から離れて行った。
「それで長谷川社長はどうしてあそこに?」
「いきなりか…。直球だな…」
「すみません…」
「いや…。君はどうしてあそこに居たのか…と聞いたな」
「…はい」
「実は…商談が思うように進まなくてな…。あの手この手を使ってみたんだが、相手にyesと言ってもらえないんだ。流石にここまでnoを突きつけられると、精神的ダメージが大きくて、秘書に無理を言って一人でいる時間を作ってもらったんだ」
「…そうだったんですか……」
「あぁ…」
「お待たせいたしました。カフェオレになります」
「あぁ、彼女に…」
タイミングが良いのか悪いのか、店員が注文した飲み物を運んできたのだった。
少し空気が重くなりかけていた所だった為、美優にとっては助かった…という気持ちでいっぱいだった。