洋輔は圭人と共に車に乗り込んだ。
「お疲れさまでした」
「あぁ」
「このままお迎えに行かれますか?」
「あぁ」
洋輔の言葉に、圭人は運転手に行き先を伝えた。
そして、圭人は後ろを振り返ると、プライベートモードで洋輔に話しかけた。
「だいぶ疲れているな」
「あぁ。今まで緊張していた分、車に乗った瞬間にどっと疲れが出てきた」
「今回は五分五分だったし、藤堂社長が折れるまでは、俺もどうなることかと冷や冷やしたわ」
「あぁ。藤堂社長の秘書が良いパスを出してくれて正直助かった」
「あぁ、田中さんね。彼は社長に忠実だけど、信念もあるから、彼を敵に回すと手強そうだね。今回はこっちの味方についてくれたから成功したと言っても過言じゃないね」
「そうだな。感謝してもしきれない」
「これで心置きなく付き合えるな」
「あぁ。これでやっと本当の意味で両思いになった」
「………」
洋輔の言葉に、圭人は黙ってしまった。
そんな圭人の反応に、洋輔は眉間に皺を寄せ、不快感を露わにしていた。

