「娘との交際を認めよう」
「ありがとうございます」
「私は娘が大切だ。それと同じように、我が社も社員も大切なんだ。娘を幸せにしてやってほしい。約束してくれるか?」
「勿論です」
「それと、長谷川グループの傘下に入ることだが……それは君と娘がそういうことになったら考えるとして、一旦保留にさせてほしい」
「えぇ。この話はまだ美優さんにも話をしていない、私の独断の意見です。現在の私の考えを提示させていただきました。いずれそうなった時に、今度は美優さんや藤堂社長と最善策を考えさせていただきたいと思っています」
「そうか…」
そう言った徹也の表情は、なんだか複雑そうなものであった。
そんな徹也に、洋輔は席を立ち上がり、誠意を込めて、言葉を発した。
「藤堂社長。認めてくださり、ありがとうございます」
そう言うと、洋輔は頭を下げた。

