「これは…」
その書類には、これからのジュエリーショップcloverの事業企画案が事細かに書かれていたのであった。
長谷川グループの傘下に入った場合のメリット、デメリットは勿論、今後見込まれる売り上げ等、それは細かく見積もり、計算されているのであった。
「長谷川グループの傘下になったからといって、今まで築き上げてきたジュエリーショップcloverの理念はそのままにしたいと思っています。勿論、今現在働いている社員の方をリストラするような真似はしません」
「…どうしてそこまで…?」
「美優さんと別れられないからです。しかし、私もグループの社長である以上、我が社の社員を守らなければなりません。私には現状のまま、跡を継ぐということはできません。今のまま、会社を継ぐとしたら、どういう体制ならできるのか、自分なりに考えさせていただいた結果が、その書面になります」
「………」
「もう美優さんを手放せない。それ程、真剣なんです」
洋輔は徹也を真っ直ぐに見つめた。
そんな洋輔の眼差しに、徹也は戸惑いを隠せないでいた。

