俺様社長に捕らわれて




「好きな…自分が惚れた女性と、例えどんな形で結ばれたとしても、それで良いと思っていました。けれど、私の当ては外れ、彼女の父親から近づくことも無理になってしまった。けれど、偶然にも街中で再会することができた。もう、私は運命だと思いました」

「……運命…」

「えぇ。出会えたからにはもう二度と離さない。そう誓い、ようやく最近お付き合いすることが出来ました」

「………」








徹也は洋輔がする昔話に、次第に眉間に皺を寄せていた。









「藤堂社長」

「……何だね?」

「鋭い社長ならもうお気付きなのかもしれませんが…、これはお嬢さんと私の話です」

「………」

「私はお嬢さんと近付きたくて、業務提携の話を持ちかけました。そしてその後は藤堂社長も知っている通り、あの手この手を使ってどうにか近付こうとしました。こんな話、信じてもらえないかもしれませんし、グループの社長が公私混同も良いところですが、それ程までお嬢さんに対する思いは真剣だったんです」








そう言うと洋輔は、苦笑いしながらも、徹也のことを真っ直ぐ見つめていた。