笑っていた。そこはそこは綺麗な場所で澄んだ青空とだだっ広い海がある。その静寂というのは小鳥のさえずりや並のさざめきが聞こえる静けさで何だか心地よく嫌いではなかった。
いつか夢に見た場所。誰もいない場所で誰にも邪魔されない場所に行きたい。そこで笑って過ごすんだ。そしたらどんなに幸せなんだろう、と。

目が覚めた時は未だ時計の針は2時を差していてたくさん寝た気がしたのは夢のせいかもしれないと思い込んだ。することもなく雨が降り続いていては外にも出れず学校へ行く支度をしてみた。最近ふと思うことがある。毎日毎日する動作はいったい何の意味を持つのだろうか。もはや生きてる意味は何処にあるんだろうか。意味もなしに出来るのは、私を動かしているモノは何なのだろうか。

さすがに寒さに耐えきれずに暖房をつけた。少しためらいがあった。というのはついこないだのこと。母親が部屋に入ってくるなりこうはなった。
「何で暖房なんかつけんのよー。」
「えっ?」
「まだ寒い時期じゃないじゃーん!お金がもったいない。」
あぁ…。どうせ金か。そう思ったのをきっと一生忘れない。忘れられるはずもない。けれどつけなければ凍えてしまうだろうと思った。たった5分だけ。それだけならと思いつけた。ガチャリ、と部屋の扉が開くことはなかったが嫌な静けさがこの後の出来事を予想させた。途端に恐怖が襲ってきた。こんなものに負けてたまるものかと思っていても立ち向かえるような心理状況ではないのだ、すでに。