ーーラウンジを後にしていつものスピードで歩く。
「どこに行くんですか?」と背後から声が聞こえ、「図書館」と一言返す。
彼女は小走りでついて来る。
……こういう時はスピードを落とすべきか?そんなことを考えていると図書館に着いた。


コンコンーー
「はい」
ドアをノックすると中から花村さんの声が返ってきた。
「高瀬です。」
「どうぞ」
「失礼します」
「今日はコレをよろし…音和⁉︎」
視線をこちらに移した花村さんは彼女がいることに気づく。
「…涼、紅葉通り(もみじどおり)は通ってないよな?」
“紅葉通り”とは俺たちがいたラウンジから図書館に一番短距離で来れる通り。紅葉が沢山植わっていることから紅葉通りと呼ばれるようになったんだとか…
「通ってませんよ。」
「ならいい。」