突然、隣に座る彼女は弁当を片付け始めた。
「音和、もう食べたの?」
「冬結ちゃん…。ちょっとね、食欲がなくて。」
「そう。無理しないで。」
食べ終えた俺を見て伊月が
「涼、今日は早いな。」
彼の言葉で視線が俺に注がれる。
「あぁ。花村さんの手伝い。」
「悠都さんの手伝いか。俺最近会ってないなぁ。」と時希。
チラッと彼女を見ると、驚いた様子を見せた後
「悠くんと知り合いなんですか⁉︎」
と興味津々に聞いてくる。
「…まぁ。」
「音和のお兄さんだろ?」
彼女は時希の問いかけに頷いた。
「じゃ、行くから。」
「わ、私も行きます!」
「…は?」
「…私も、行きます。」
「何しに?」
「悠くんに聞きたいことがあるので…行きます。」
聞きたいこと…“知り合いがいるのに何で教えてくれなかった”というような事だと思うが…
「じゃあ行ってきなさい。お弁当箱は私が持って行っておくわ。」
「冬結ちゃん、ありがとう!」
「涼〜!ちゃんと音和連れてってやれよー?」
「…あぁ。」
時希が何故か意味深な顔をしてこちらを見る。俺は少し睨んでからラウンジを後にした。




side涼 end