「は、はいっ…初めまして…花村、、音和です。よろしくお願いします。」高めの彼女の声は緊張しているのか 声量は小さく少し震えていた。

花村音和ーーー久しぶりに聞くその名前はなんだかくすぐったい。
「じゃ、席は窓側の一番後ろで。あと、音和は教科書がないから…涼、見せてやって。あ、みんな自分から自己紹介してやって!あと数分ここで待機。学級委員が廊下に並ばせて9時に第一講堂集合。その後ついては配布されたプリント参照。HR終わりな。」
「起立ーー礼」
「「ありがとうございました」」

教科書…俺が見せるのか。見せる以前に、俺には必要ない。先生が言うことさえ聞いていれば頭に入るだろ。

そんなことを考えていると俺の左斜め前の席に座る時希が自己紹介を始めた。

「初めまして。俺、高瀬 時希(たかせ とき)!時希って呼んで。よろしく!ちなみに陸上部!!」
悪魔でも“初対面”を装う。
「時希くん…よろしく、お願いします…」それに丁寧に答える彼女。
そして俺の前の席に座る笹倉も。
「初めまして!笹倉 美朝です!美朝って呼んでね!女子バドミントン部所属だよ。」