ガラガラーー8時45分。
式典前のHRのため担任であり、俺の従兄弟叔父でもある圭人さん…高瀬 圭人先生が教室に入ってきた。

圭人さんの後を追って入ってきたのは小柄な女。肩から20cm程伸びている髪は俯いた彼女の顔を隠している。

彼女は花村さんの妹、花村 音和。
一応、幼馴染み。“一部記憶がない”と聞いたのはつい先日のことだ。

「おはよう。HRやる前に、えー…外部生だ。自己紹介してな。」
圭人さんがそう言うと彼女は顔を上げた。すると騒つく教室は途端に静かになる。
今日はコンタクトが切れている上に眼鏡を忘れた為、前に立っている彼女の顔はよく見えない。プラスして俺は一番後ろの席だ。