「音、花村さんのところ行くけど……」
そう言ったのは涼。それに「行く!」と返したのは音和。
涼はよく、花村さんと圭人さんの弟、唯人さん(ゆいと)の仕事を手伝っている。アルバイトってやつだね。
俺は極たまーに手伝うだけだけど……
「……てことで、行ってくるから」
そう言ってラウンジを出た。
これは俺たちに向けた言葉だろう。
「……え、あ、待って!」
音和は急いでお弁当箱を片付ける。
「音和、お弁当箱置いていっていいよ!持ってくから!」
と美朝が言うと、「ありがとうっ!行ってきます」と言ってラウンジを出て行った。