『もしもし』
「……涼?」
『 俺以外誰だと思う?」
「……ごめんなさい。」
これはお決まりの会話。表示に“涼”と出ているのに聞いてしまう私の悪い癖。
耳元にダイレクトに伝わる声は、何だかくすぐったい。
『羽咲(はざき)の東口のケーキ屋前で待ってる。」
「……え?」
『……花村さんに聞いた。一人で来ようとしてるんだって?」
「うん….」
『途中で具合悪くなったらどうするつもり?』
「最近は調子いいもの……」
『大丈夫とは言い切れないだろ……』
「それはそうだけど……」
『とりあえず、羽咲の東口な』
ツーツーツーツーー
「え….あ、ちょっと」
涼はそれだけ言うと電話を切った。
「とりあえず、行かなきゃ!」
徒歩5分のところにある最寄りのバス停へ行くと、丁度バスが来たところだった。嬉しいことに、バスは空いていて座ることができた。お重が予想以上に重たくて、少しびっくり。

