それは３年前にさかのぼる。私がまだ小学5年生だったころ、私は仲良し４人グループの一員だった。ゆり、美優、夏奈子 といつも一緒だった。学校に行くのも帰るのも、昼休みも放課後も。この３人が大好きだった。
ある日クラスに悪い噂が流れた。
「ねぇねぇ聞いた？ゆりちゃんのお父さんって捕まったらしいよ。」
こんな会話がひそひそと授業中に聞こえてきた。まさかと思ってゆりの座っている方を見た。するとゆりはうつむいて肩を少し震わせていた。よくみると手はぎゅっと握られている。その姿は、その噂は事実だということを物語っていた。とても驚いた。今日も一緒に登校したけど、いつもと違った感じはなかった。ゆりのお父さんに、何があったのだろうか。そんなことを考えているとだんだんと怒りがこみ上がってきた。それは噂をひそひそと授業中にしている人達に対してだ。「えっ、マジ!?」といいながらゆりのことを軽蔑の目で見るクラスメイトたち。クスクスと笑うクラスメイトたち。そんなみんなをみてとても腹が立った。友達なんじゃないの？。なんだか悲しかった。そしてそれを見てなにも言えない自分に腹が立った。
休み時間になってすぐにゆりのところにいった。するとゆりはガタッと席を立ってトイレに走っていってしまった。追いかけようかと思ったが、ゆりになんて声をかければいいのかわからなかった。少しの間そこに立ちすくんでしまった。