─── ‥妃‥‥妃‥───


聞き覚えのある懐かしい声



「‥‥‥はっ」



そう、これが現実なんだ




もう‥取り戻せない






朝の光がカーテンの隙間からもれる


「‥‥もぉ、朝か」


ベットから起き上がると頬を伝うあったかいもの

「‥‥なんで‥私‥‥泣いてるんだろ」



さっと頬を伝う涙を拭う





「‥‥したくしなきゃ」




朝は基本的に誰もいない



十年前、両親が離婚した


私は母に引き取られた


父の顔は覚えていない



父が唯一残したものは私の名前


それが妃(kisaki)


由来は分からない

けど私はこの名前は嫌いじゃない



リビングにいくと、テーブルの上に料理がおかれていた


もう冷めきってる料理


お母さんがつくってくれた朝ごはんを温め直して食べる


それが私の日常