「っあ、、え…。」


話したくても、
言葉にならない言葉。


「ほら、泣いてでもいい、話せ。」

「うぇ…ひくっ。」


胸に深く響く、低く甘い声。
死にたくなるほど傷ついているあたしの心は、
その声を拒絶できるほど強くは無かった。


「うっ、うち…家…お、母さん…あた、しを…。」


途切れ途切れでグダグダのあたしの話を、
田之倉はゆっくり慎重に聞き入れてくれる。

全てを聞いた田之倉が口を開いた。


「…そうだったのか。」

「……ゔん゙。」

「おかしいとは思ってた。」

「――ふぇ…??」

「ちょっかい出してこねぇし、ノートも出さないし。」


心配されていたという嬉しさが、
あたしの心によく沁みる。


(こんなにもあたしの事見ててくれてたの??)

「あのさ、真面目に聞いて??」


急に田之倉の声の真剣さが増した。
変に胸がざわつく。