「美幸、そろそろ他の先生来ちゃうけど。」


そんな田之倉の警告に、あたしはちょっと、
ワガママを言ってみる。


「や~だ~。一緒にいたいよぉ。」


そんなあたしに対して、
田之倉はムッとしつつも嬉しそうに、


「馬鹿美幸、おいで。」


と言ってくれた。
すぐさまあたしは田之倉の机の下に潜り込む。
今じゃこれだって普通の事。
他の先生がいる間、小柄なあたしは机の下にいる。
うずくまって暇してると足先でつついてきたりして、
咄嗟に声出そうになってヒヤヒヤしたり…。

でもそんなことが嬉しくて、楽しくて、
充実してて…。
毎日が苦痛だったあの時とは違う。
家で何があったって、
どんなに傷ついたって、
あたしには田之倉がいるんだ―――。

ただそれだけで、世界はこんなにも変わる。


あたし達は教師と生徒なんかじゃない。
1人の゙男゙ど女゙。