ここから始まる

思わず言葉に詰まる。

本当に私が聴いていい話?

「不安そうな顔。栞には聞いて欲しい

だからそんな顔しないで。」

そういってにっこりと微笑む。

私はゆっくり頷いた。

「俺が八歳のときに母親が病気で

死んだ。その四年後に今の母親がきた

んだ。当時は父さんにあたってた。

母さんのことは忘れたのかって。いろん

な人に迷惑かけて、あの頃はガキだった

な。」

昔を思い出すように目を細める一条君。