ここから始まる

派手に走り回りもしないし、シュートも

しようとはしない。ただ淡々と味方に

パスを出すだけ。

「ほらね?」

春香がやっぱりという顔で私を見てくる



まじか。運動神経抜群とか勝手におもっ

ていた。

嫌いなのかな?

少しだけ残念に思ったり。

まぁいいんだけど。

1試合目が終わり奏たちは休憩のために

こちらに戻ってくる。

なんとか勝ったはいいものの、ほとんど

チームメイトのおかげだろう。

みんな肩で息しているのに疲れていない

のは二人だけ。

「ちょっと!動きなよ!」

あまりの怠けっぷりに春香は腹を立てた

のか元君に向かって怒っている。

「奏。」

私も目の前の彼に声をかける。

ん?と笑いながら私の頭を撫でるとひょ

いっと壇上に登ってしまった。

やっぱ怪しい。こんだけ身のこなしが

軽いのに。

「奏のかっこいいとこ見たい。」

隣に座る彼に思い切って声をかける。

「ふっ、栞が俺のこと応援してくれたら

見れるかもよ?」

いつもの意地悪な顔。

「応援する!だから頑張って。」

「わかった。」