ここから始まる

変わらない一条君との距離。

それが心地いいなんて。

「栞は俺の何が知りたい?」

唐突に頭に振ってくる声。

「えっ....」

急に言われても困ってしまう。

何しろ男の子と帰ることもこんなに

話すことも初めてだから。

「栞の質問には極力答えるよ。」

そういった一条君は満足そうに笑った。

ありきたりのことでもいいだろうか。

「名前は?」

もう知ってるくせに。

とっさに出た質問はそれだった。