がちゃんっ

大きな音がして廃棄本の部屋があく。

「はい、どうぞ。」

そういって一条君を中に促す。

んっありがとと言って中に入っていく彼

はとても楽しそうだ。

よっぽど気に入ったんだな。

「あーやっぱいいわここ。落ち着く。」

早速窓際へ向かっている。

嬉しそう。今日きてよかったかも。

そんな彼を横目に自分もあの小説の続き

をとりにいく。

「あった。」

手に取るだけで綻ぶ顔。今日はなんだか

図書室が違う空間に思える。

一条君がいるから...?

ちらりと後ろを向いて確認する。

一条君は難しそうな外国語の本を手に

とって読んで居た。

「すごいね。外国語の本なんて。」

そう問いかけるとこっちを見る一条君。

「ここは読まれなくなった海外の本が

たくさんあるからね。だからここが

好きなのかも。」

どんどん新しい本をとって窓際に戻る。

私も彼の目の前の席にすわる。

「俺もしかしたら途中で寝るかも。もし

時間になったら起こして?」

そんな彼の言葉に流れるように首を

縦に振る。心地のいい時間がながれる。

数分後静かに聞こえ始める寝息。

「もう寝てるし.....」

起こさないように私はずっと彼の隣に

いた。