「雲屋はそう簡単には
降りて来やしねぇ。
奴らは空の彼方で
霞でも食って生きてるのさ。」

「じいさんは本の読みすぎだよ。どんな船だって給油ぐらいするだろ?」

「アート。
10そこらのお前にゃ、
理解しがたいだろうが。
空飛ぶ船って時点で
色々おかしいだろうよ。
何を原動力に動いてるってんだ。

それに、
雲を操るくらいだからな。
何があってもおかしくねぇ。
俺らには近づけねぇ存在だ。」



じいさんは駄目だ。
頭が固すぎる。
空飛ぶ船の何処がおかしいのか。実際に、雲屋は飛んでるじゃないか。
でも、船って普通海を渡るものだよな。
あれ、なんで空飛んでるんだ?

考え始めて、
ええいと頭を振り走り出す。
考えてばかりは性に合わない。
ロッキングチェアーの上で
パイプ片手に本を読む
じいさんを尻目に、
僕は街へ駆け出した。