僕は心底彼らに惚れ込んだ。
姿も何も、
この大船と流れる雲意外、
見たことは無い。

それでも、
投屋<<トウヤ>>に
時々投げ込まれる手紙は
心躍る物語が書いてあったし、
去り際のホラ貝の音など、
思わず足踏みがしたくなるほどだ。

そんな事を毎日考えていたら、
僕はある時から一つの夢を持つようになった。


"雲屋になりたい、
雲屋の島に行ってみたい"


今まで多くの子供達が
雲屋になりたがった、
と聞いたことがある。

それでも、
誰も雲屋になる事は出来ず、
そうして大人になった。
大人たちは口々にそう言う。
そんなのは嫌だ。
だから、考えたんだ。


雲屋の大船に乗り込んで、
言えばいい。

『雲屋になりたい!』
と。

僕はワクワクする思いを胸に
早速、じいさんの所へ相談へ行くことにした。