私はゆっくり話す。


「私はね、雨が好きなの」



「だって………」



「雨の中泣いても、涙は雨に流される」



「雨の中叫んでも、声は雨の音にかき消される」



「雨はね全てを流してくれるの」



「涙も、叫び声も、自分の中の感情も……」



「とっても、素敵だと思わない?」



「だから私は雨が好き。

だから私は雨の中で泣くの。」



そう言って、時雨の反応も見ずに、白い箱てと入る。