「そうだよっ!

時雨と分かち合えない『一生』を、時雨の隣にいるなんて、私にはできない」



「………」


「私は、もう長くないから!

……自分の気持ちを伝えられなくて。

それが苦しくて。

伝えられる時雨が羨ましくて。

告白されて嬉しいのに嬉しくない自分がいて。

………なんだかよくわからなくなっちゃって。

気持ちが追いつかなくなった結果、涙が出てきて。

時雨の瞳に映っていたいくせに、泣き顔を見られたくなくて。


………全てがぐちゃぐちゃになったから、走ってきたの。」


「………そっか」



雪斗先生はそれだけ言って、私のことを優しく抱きしめた。


「ちょ、、なっ、先生っ!?」



「泣きなよ。

こうしてれば泣き顔は見えないから。

………じゃないと苦しいままだよ?」


その一言で何かが切れた。



赤ちゃんのように泣きじゃくって。


泣き止んだ頃には声が枯れていた。




まぶたが閉じかけて、泣いて腫れた目が見た空には



きれいな虹が架かっていた。