➖放課後の教室➖

オレンジ色に染まる教室
私は教室の中心に立ち、窓越しから見える風景から周囲にいる友人たちへと視線を移した。

「ねぇ皆知ってる?」

私はわざと意味ありな言い方をした。

「「何何??」」

「面白いことかな?レオ」

「ユニが言い出したことだ!絶対にそうに 決まってるさ!レア」

顔のよく似た男女レオとレアは,互いを見つめながら言った。
妙な期待を抱かれてしまい、二人に曖昧な返事を返しながら改めて口を開きかけた矢先

「ユニッちっ!」

「きゃっ!」

突然後ろから抱きつかれ,びっくりした拍子に前の方へ体が傾き、誰とぶつかった。

「…おい…」

「ルキっ!ごごごごめんっ!!!」

抱き付いている態勢であることに気付き、急いでルキから離れた。
私は激しく鼓動する心臓を隠すように思いっきりマヤを睨み付け、念を込めた。

ー今度やったらただじゃ置かないからね

抱きついた当の本人マヤはしらを切るのか口笛を吹きながらそっぽを向いていた。

「マヤ!!」

「??どした?ユニッち!えへへ」

全く反省している素振りはなく、むしろ上機嫌で私を満面の笑みで見つめきた。
私は深い溜息をつき,これまでの出来事を暖かく見守っていた少年アルに向き直った。

「アルは知っているかもしれないけど…
 伝説の島について……」

ゆっくりと机から降り,窓側の方に歩みながら口を開いた。

「まぁね。僕の知ってることはそんなに役に 立たないかもだけど。」

異常な空気を察知したのか他の皆は口を閉ざしていた。
窓辺に寄り添い夕日に照らされたアルの顔は苦しそうで悲しそうな表情を浮かべていた。

ーあの人も最後にあった時、こんな顔してたっけ………もう過ちは繰り返さない!
絶対にもうあの思いは………

「……ニ……ユニ!」

「っえ!?」

唐突に名前を呼ばれ、思考を無理矢理停止した。
顔を上げると目の前にはアルの心配した表情が間近にあった。

「っわ!!」

驚いた拍子に後ろにいたルキとぶつかった。

「ッチ…またかよ」

「ごごごごめんっ!!!」

「お前のそのセリフ聞き飽きたっ」

「うぅ〜〜っごめんなさいっ」

そんなやりとりを見ていた皆は一斉に笑い出した。

「ホントっおふたりさんはお似合いだね」

そう言いながらユニをつんつん突いた。

その近くでレオとレアはチラチラこちらを見ながらコソコソ話をしていた。

「ふふっ……………」

「っえ?アル、何か言った??」

「いや、何でもない」

本当はユニには聞こえていた。
だか聞こえなかったふりをした…いや、しなければならなかったという方があっているかもしれない。
聞いてしまうと今の関係が壊れてしまうような……後戻りができなくなってしまうような……そんな気がする。

「ねぇアル!続きを話して」

ユニは今までの思考を停止するかのように明るい声音で話を促した。

「そうだね。伝説の島っていうのはね
 今でいうゴリラランドのことなんだ。
 少し話が長くなるけどいいかな?」

アルは皆を見渡し,承知を確認してから話し始めた。
この後,悲劇が待っていることを知る人はいなかった。