白い指についた赤い液体。
「うぎゃっ?!」
「鼻血出てるよ」
「う、うそっ!」
「ホント」
痛いのを我慢して指を鼻の下に持っていくと…確かにぬるりとした液体が指にまとわりついた。思わず顔を顰める。確かに鼻が格段痛い。
「…どうしよう」
「起き上がれる?手、貸そっか?」
「……いい」
斉藤の手を拒否したのに一方的に手を引かれ、立ち上がらされる。抑えた鼻からまだ血が零れ、廊下にポタリと落ちた。周りの人がチラチラこちらを見てくるのが、心地良くない。
「ティッシュあるから、鼻抑えて、保健室行こう。生憎、鼻血の止め方は知らないんでね」
「いーらーなーいっ」
「…女の子の顔に傷なんか作っちゃあ、いけません。ほら、行くよ」
強引に手を引っ張られる。斉藤に助けられるなんて、屈辱すぎるのに!やけに頼もしい背中にべーっ、と舌を出した。
__その優しさも大っ嫌い!

