すると…お父さんが俺の隣に座り
「実はね…オーストラリアの支店に転勤が決まったんだよ。
夏休み中には引っ越す予定だ。
葵の部屋も片づけて…この家も…」
少し切なそうな顔をしながら、お父さんが言った。
「転勤ですか…。」
俺がそう呟くと…お父さんがニッコリ微笑んで言った。
「蓮くん、葵が話す英語を聞いたことある?」
「…はい。数学と英語は成績でクラス分けされてて…同じクラスでした。
僕は帰国子女なんで当たり前なんですが…葵さんは違うのに負けず劣らずで、みんなビックリしていましたよ。」
「私たち…旅行会社に勤務しているから、ずっと海外を飛び回っていたんだよ。
だから葵も…日本だけにとどまらず、広い視野を持てるように、どこでも羽ばたけるように……って英才教育してたからね♡」
そういってお父さんは、悪戯っ子の様な愛くるしい表情で微笑んだ。

