「……え、え?8人ってことに意味があるんじゃなくって……えっ!?」
挙動不審になる私に、永尾くんが静かに助け船を出した。

「いや、まずそれを結成したきっかけが樹琴だからね。」
本人は助け船を出したつもりだったんだろうけど、衝撃的すぎて私的には乗った瞬間、床が沈没する泥船だった。見事に浸水した上、沈没した。
え、え、え……?

「ほら、幼稚園の時のストーブ事件。俺達、ああいうの見てもガン無視だったんだよね。ああ、馬鹿な奴等が何かしてんなーくらいに。」
わあそれ大人びてるってことじゃないですかーやだー。
だって私、小さい頃からやり返さなきゃ、相手は好きに乗るっていう事を身に持って体験させられた人ですから!!!

例えば、父さんが私がいる目の前で平気で、母さんを口説き始めるのを放って置いたら、毎朝プロポーズタイムが始まったために、うざかったから、父さんの靴にカメムシ仕込んでおいた、覚えがあるよ!!ああ懐かしい!!

「でもちっちゃい女の子が、自分よりずっと大きい男子に立ち向かっているのを見て、ちょっと恥ずかしくなっちゃってさ!!あはは!!」
吹雪くんはけらけら笑った。
ちっちゃいという点では、吹雪くんも負けてないけど、そんなこと言ったら涙目になっちゃうだろうからやめておこう。

「それで樹琴と療介が帰ってから設立したのが、弱きを助けて悪を倒す!!そう!!それが俺達!!」
ドゴオオオオンという効果音が付きそうな勢いで、ポーズを決める鈴鹿くんと吹雪くん。
ふざけているように見えるけど、実際に町ではカツアゲがずいぶん減ったり、トラブルもかなり減ってるらしい。
しかも、ボランティアなどにも積極的に参加している、割りと真面目なグループらしいな。
それに、この人達とだったら…やってみたい。


「………入ってもいいの?」
私が聞くと、4人は笑顔で頷いた。
ああ、これがこの人達なのか。