私は都会からそう遠くもなければ、近くもない。ほどほどの田舎に住んでいた。ここから始まる大反乱が起こるのは、あと数秒。それは家族で食卓を囲んでいた時、父の問題発言が発端だった。

「樹琴(ミコト)…ママ………」
それとなく漂う重苦しい雰囲気に、私は心底ドキドキしながら、父親の口から放たれる言葉の続きを今か今かと待ち受けていた。
それは母も同じなよう。

「突然で本当に悪いんだが、お父さん北海道に転勤することになってな………」
はぁ???
私は一瞬父親の言葉の意味が理解できなかった。急に何で??ここ神奈川なんですけど??北海道とか遠すぎない??

「あらいいじゃない!北海道って自然いっぱいで、おいしいものもあって、素敵なところだし!!」
んん?お母様、何その気になっちゃってるのかしら???

「ちょっと待ってよ!学校は!?」
大急ぎで私は反論した。だって冗談じゃない。新学期が過ぎて、やっと仲良くできる友達が出来たし、テストだって控えてるのに!!

「そんなの転校しちゃえばいいじゃない♪」
音符マーク付けやがって、使えねぇぞこの母親。

「それよりお母さんはお父さんと北海道を二人で歩くほうが楽しみだわ☆」
「僕もだよ。マイハニー☆」
ダメだこいつら。お互いのこと好きすぎるだろ、子供の前で抱き合い始めるか??普通??

「ってことで来月北海道に行くから!住むところも決めてあるし!荷造りよろしく~!」
わたしは夕食だったロールパンを見事お父様のお顔にヒットさせるのに成功した。

ここからだ。私が待ち望んでもいない大反乱が始まってしまうのは。