「狭いけど、まぁ我慢して。」
青葉くんはしれっとそう言って家を指差した。
私が無言で頷くと、青葉くんはドアを開けた。
えっこれが狭いんだったら私の家、豚小屋なんですけど。何これ城か。
あと狭いけどって高校生が自然に使う家の紹介じゃねぇよ!!

「あーっ!!やっと帰ってきたぁーっ!!」
「療介遅せぇぞーっ?!!また医学書でも読んでたのかぁーっ?!!」
あれ?吹雪くんと鈴鹿くんの声がすごい勢いで近付いてる。多分走ってきているんだろう。というか何でここに?

「お前ら!?何で俺ん家にいるんだよ!?」
「ごめん青葉…俺が青葉の家行くって言ったら、なんかこいつらも着いてきてさ。まぁいつも来てるし、いいかなって。」
「よくねぇ!!」
うわぁ何かものすごく場違いな気がするんですけど私。

「はぁ…まぁいいや。それよりお前らが目ぇ付けてた奴連れてきたから!!」
青葉くんが三人に答えるように叫んだ。…ううん?待って??目ぇ付けてたって……えっ??

「えっうそマジで!?ああーっ本当だ!!」
少しチャラ目のイケメン鈴鹿くんが、私を見てピョンピョンとジャンプしてた。
っていうか鈴鹿くんでけぇ!!!うそだろ!!!
「あの、長身イケメンさん。」
「えっww俺?俺!!?ww何!?w」
「身長おいくつです??」
私が聞くとうーんと唸った。そして頭の上で手をヒラヒラさせて、軽く笑った。

「去年、中学んときの発育測定で175?とかあったから…明日の発育測定で分かるんじゃない?」
…あっダメだ。もう見上げるしかない。首痛くなりそう。湿布。

「一番ガキっぽいけどね。」
永尾くんが、思いっきり嫌味な感じでそう言った。
でも、なんだかんだで永尾くんもおっきいよな!くそ!!
子犬みたいな、元気な少年タイプのイケメン吹雪くんもそこそこ小さいけど、多分、青葉くんが一番小さいんだな。華奢!!可愛い!!仲間!!

「まぁ上がってよー!!」
「お前の家じゃねーよ。」
吹雪くんは青葉くんに頭を思いっきり叩かれていた。すごいいい音したけど。

「母さんに一人増えたこと言わねぇとな。」
青葉くんが言うとほぼ同時に、奥の部屋から素晴らしく美しい女性が出てきた。

「あら、療介。新しい子?」
鈴が鳴るような声って、こういうのを言うのかってくらい綺麗な声だった。

「うん。引っ越してきたばかりなんだって。両親が結構変わり者らしくて、困ってたから連れてきた。一人増えても大丈夫?」
青葉くんが言うと、お母様はにっこりと笑った。

「もちろん構わないわよ。もう少しかかるから、少し待っててね?」
「「分かりましたー!」」
みんなそろって返事をした。
……あぁこんなお母様が良かった。
泣いた。