「起立、礼。さよーならー!」
「おう、気をつけて帰れよー!」
クラスのみんなは、わあああっと蜘蛛の子を蹴散らすように教室を出ていってしまった。さすがAクラス。元気てかノリが半端ない。
音楽の授業のあと、数学をして、すぐに解散になって私はふっと思い出した。
そうだ。今日午前授業じゃん。

「お昼どうしよ…」
今日と明日、両親は休日が被ったから旅行に出掛けた。
朝起きたら、「お泊まり兼ねて旅行してきます。頑張って5000円で持たせてね☆」
と書き置きがあったときは迷わず、メモとお父さんの椅子にスライムを叩きつけた。ふざけんなあの馬鹿親。
いやに気前よくお金くれんなって思ったら、生活費込みかよおい。まぁこういうことが多かったから、洗濯も風呂も料理も何でも出来るんですけどね!
さて、お昼はどうしようかな、両親の恨みを全力で込めて、オムライスに死ねって書いて食べようかな。

そんなことを考えていると、私の他、唯一教室を出なかった青葉くんが、私に近づいてきて聞いてきた。

「帰らねぇの?腹減ってないのか?」
私は思わず笑顔で答えていた。

「ちょっとね、昼食である人への恨みをどうやって果たすかを考えてたの。」
「ごめん詳しく。」
初めて青葉くんがガチトーンになった。ごめんよ。
とりあえず、私は転校してきた経緯、両親がラブラブすぎることなどをざっと話した。

「それ…普通に育児放棄で厳重注意…」
えっ訴えられるの!?訴えられるなら泣きながら喜んだ後、訴えるよ!?

「俺、今本読み終えたから帰るんだけど…俺と、あと永尾と俺ん家で飯食う予定だったんだけど…君も来る?一人くらい増えても変わんねぇし、あいつも多分大丈夫。」
…………。
……ぱ、ぱーどぅんみー?