「じゃあ自己紹介をしてくれ。」
私が内心暴走していると、西原先生が言ってきた。凹んでるね!ざまぁみろ!!

「えっと黒いに金へんに集まるの上の部分で黒錐、樹木の樹と楽器の琴で樹琴。黒錐樹琴(クロキリミコト)と言います!神奈川からいきなり北海道に来たので、色々戸惑ってますが、よければ仲良くしてください!よろしくお願いします!」
自己紹介を終えると、パチパチと拍手をもらった。
父さんが飲み会に私を連れていくせいで、父さんの上司の人にも挨拶しないといけないから、って小4の時から、徹底的に挨拶について叩き込まれたからな!社交辞令なら舐めんな!!

「意外としっかりとした自己紹介だったな…。」
何か一々シャクに触る先生だな。引かないでよ


「…まぁ顔が良いだけの先生より、可愛くて教養の滲み出ているこの子の方が、頭良さそうだしね。」
生徒会長くんが表情を変えず、真顔でそう言うと、教室は爆笑に包まれた。
ただ一人、西原先生だけがこめかみをピクピクさせて笑っていた。
いじられ系の先生なのか、ふむ。


「じゃあ樹琴は、青葉ー…えっと、あの女の子みたいなほっそい体してる眼鏡のとなr」
「あっれぇ西原先生??この前変装しては、白昼堂々隣街のデパートで買った物のことばらしちゃっていいの???」
「なっなんで知って、わ、悪かった!悪かったから!」
何この残念なイケメンとドSくんの図。シュール。というか変装までして何買ってんだよ。


「えっとあの短めの髪の眼鏡の隣。」
あんまりいい意味なってないけど。
とりあえず、私は青葉と呼ばれた男の子の隣の席に座った。


「この前はお世話になりました…」
「いや、むしろ驚かせてごめん。よろしく。俺は青葉療介(アオバリョウスケ)」
ふわっと笑う青葉くん。
女子イチコロだろ。やめろよイケメン。

授業に入り、私はあらかじめ買った教科書を使って授業を受けていた。
にぎやかで楽しい教室を見回すと、青葉くんとあの会長くんは、班が同じということが分かった。
なんだか、楽しくなりそうだ。