呪いの着メロ

「・・・・・・何の話?」

「あぁ、話すと長くなる」

 経緯を知らない霧谷には何のことかサッパリだよな。

「まぁまぁ、じゃあ、まず霧谷さんはこれを読んで! その方が手っ取り早いよ!」

 その方が良さそうだ。俺も三嶋の口から二度聞くのは是非とも避けたい。

 霧谷はコクンと頷くと、黙ってその『片目の少女』を読み始めた。

 その間に、三嶋は俺の所に寄ってきて、楽しそうに言ってきた。

「ねぇ! よくホラー映画でさ、こういうの調べていると本当の呪いとかにかかって全員が死んじゃうってのが定番だよね?」

「縁起でもないこと言うな」

「でもでも、なんかすっごく不気味じゃない? なんかさ、その女の子の霊に呪われてるって気がしない?」

 その三嶋の言い方が俺はすごく気になった。

「ちょっと待て。話に出てくる女の子って、死んだのか?」

「あぁ、そういえば全部話してなかったっけ。まぁ、私も詳しいことはあの本を読んでから知ったんだけどね」

 三嶋が今、霧谷が夢中になって読んでいる『片目の少女』に目配せする。

「実はそうなの。自殺したのよ。本が読めなくなったことを苦にね・・・・・・」

「なんか・・・・・・どこまで本好きだったんだろうな、その女の子」

「班長くんもあの本を読めば分かるよ。あぁ、あの本ね、本の楽しさを教えた彼女の友達が書いたんだって」

「それで、それからどうやったら『呪いの歌』に繋がるんだ?」

「鈍いなぁ。ここまでくれば王道パターンでだいたいの想像つくじゃん。最初の標的は本を読めなくした実の両親。ある日のコンサートのリハーサルの時、午前零時に突然スピーカーから自殺した女の子が作曲した音楽が流れてきてね・・・・・」

 また急に三嶋が怖い口調になる。