( 8月3日 . 午後 4時13分 )



「 ちー。」


後ろから聞こえた、聴き覚えの有る声。

振り向けばそこに居たのは、


転校したはずの、彼でした。



「 久しぶりやな、ちー。」



名は 瀬戸内昴。


聞き慣れた関西弁。

くしゃっと笑う彼の顔。

転校する前に私があげた、
彼の好きなバンドのTシャツ。

全てが懐かしくて。



.




愛しくて。


「 あらら。聞こえてへんのん? 」


「 んあ、聞こえてる聞こえてる。」


でもね、昴。

その昔の私の想いは、

今はもう、君へのものじゃ無いの。



「 またこっちに引っ越してきてん! 」



でも、


無邪気に笑う彼のことを、

嫌いになんかなれるはず無くて。



「 そうなんだ! 」

「 また一緒に学校行こうや! 」



ごめんね。

もうそれは出来ないの。



「 ごめん。それ、ちょっと無理かも。」



「 ええー っ、あかんの ? 」


そうやって可愛く言うから、

嫌いになんかなれないじゃん 。




( そこが君の狡いトコ )

( そうやってまた私を惑わす )