「やっほい、ミィーチちゃん!」

クルクルのどこぞの外国人のような髪の毛をフワフワ揺らしながら、笑窪のある可愛い笑みをアタシに向ける萩野。

萩野 孝(はぎのたか)、アタシの幼馴染み。

「何?」

「何?って、冷たくない?ねぇ、冷たくない?」

「アタシ、前言ったよね。」

この男は幼馴染みの欲目なしに綺麗な顔してる、ついでに性格も良い、ついでに運動もできる。

むしろ欠点は空気が読めないとこと、勉強が出来ないところだろうか。

だから、女子によくモテる。

それに比べてアタシは、地味で大人しくガリ勉で通ってる。

そんな二人が仲睦まじく話していたら、のメス豚がブヒブヒ鳴いてうるさいに決まってる。

メス豚ならまだ可愛いもんだ。

三年のメスゴリラになったら……、小中学校とコイツに関する修羅場をくぐり抜けてきたアタシですら無事で生きて帰ってこれないだろうな。

だから、女子が教室にいる時、特に昼休みは用があってもアタシに話しかけるなって言ってあったのに、コイツは。

「だぁってミチちゃん、LINOしても気付いてくれないじゃーんっ!」

「いやアンタのLINOなんてとっくにブロックしてるわ。」

「えぇっー!!ヒドイよ、それでも俺の幼馴染みなの……?」

「えぇ、一応。それで、何なの用は?」

こんなわざわざ女子のいる昼休みに話しかけてくるほどの用じゃなかったら、顔面フックよ。

そんなアタシの気持ちが伝わったのかブルリと体を震わせ、萩野はそれでもニコニコ笑いながら言った。