恐らく2人のうち下っ端であろう若い男はそのまま荷物の奥へ進んでいく
ひとつ、ひとつと荷物の間を隈なく見渡していく間に先ほど声を掛けてきた奴が隣にやって来る
『お嬢さんはこのサーカスの踊り子かね?』
「え?ええ。明日が初舞台で緊張してしまって…荷物の整理をしながらここで1人こっそり練習していたんです」
『嗚呼、そうだったんだね。道理で優艶の中に純潔のような初々しさがあると思ったよ』
腰に手を回し撫でられ、今度は逃げずそのままで、お恥ずかしいと頰を染める私に破顔するのを見て下を俯き、荷物を見ている彼を盗み見る
彼は私達の妖しい雰囲気を気にしながらもシノが隠れている隙間のすぐ目の前まで来ていた
バレないとは分かっているが流石に冷汗が流れ胸が高鳴っているのを感じる
キシキシ軋む板をゆっくりと踏み締めながら
ついに一番奥の荷物に手をかけ隙間を覗き込もうとした
刹那
私は徐に目の前の彼の首に手を回し思わず小さな声を上げる男に耳元で囁いた
「私(わたくし)、一目見た時に思ったのです。私の初めては貴方の為に、貴方の上で踊りたいと」

