白い雛鳥



荷馬車に揺れること数十分

馬の足音が静かに消えた


「………」

シノが音を立てず横になっていた身体を起こしたので、同時に私は懐に忍ばせていた短剣を取り出し荷馬車の布に目だけ覗かせるような小さな切れ目を作って外の様子を伺う


外ではシャロンと先ほどの悪魔族の門番二人が何やら話し込んでいる

どうやらティニエの関所に辿りついたようだ

『こんばんは。こんな夜更けに何の御用で?』

『見ての通り、サーカスですよ。クロカンク様の屋敷に招かれましてね。これがその招待状です』

人当たりの良い笑みを浮かべているシャロンはスーツの内ポケットから封蝋がされた真っ黒の封筒を取り出すと門番に渡した

門番は封筒の中身を手に取り、ザッとその文書に目を通す

『…確かに本物ですね。一応規則ですので荷物に不審なものがないか確認させていただけませんか?』

『ええ勿論』

ピクリと身体が揺れる