「…おい駄犬。何のつもりだ」
退けようにも腰にしっかり手を回され身動きが取れず
代わりにきつく睨みつけるがシノは気にも留めない
「俺だって色々言いたいことあるんですよ?それなのに我慢してるんだからこれくらいは許して下さい」
「お前は段々と図々しくなってきたな」
口を尖らせ駄々をこねる姿はまるで子供のようで怒るだけ無駄かと小さく溜息をつく
「その顔だって本当は誰にも見せたく無いんです」
ゆらりと手を上げフードの奥に隠れた滑らかな肌に手を這わせる
思いの外柔らかく優しい手つきでなんだかむず痒くなり思わず身体を後ろへ反らせた
「やめろバカ犬。」
「照れるリィナさんも可愛いです」
「照れてなどない」
素っ気ない態度も気にせず甘ったるい、蕩けるような笑みを浮かべる目の前の奴はあの傍若無人と呼ばれていたかつての面影は露ほども無い
それに、つい最近まで触れられるだけでも倒れていたというのに…
「毎回倒れてたら折角の好機を逃しますからね」
勝手に私の思考を読み取るな
なんの好機かは知りたくもないが恐らく想像してるもので間違いないのだろう
早くこの時間が過ぎてくれと願うばかりだった

