白い雛鳥


-リィナside-

餓鬼の後ろから現れたのは優しげな目をしたやや細身の老人

耳が少し尖っているから恐らく悪魔族の男だろう

真っ白な顎髭を蓄えて頭にはシルクハット、手には細かな装飾が施してあるステッキ。

品のあるグレーのスーツ姿でさながらどこかの貴族のようだ

「どうも、私はこの一座の団長、シャロンと申します。この度は愛弟子のギルを含め…しがない旅芸人達を助けて頂きありがとうございます」

「シャロン団長‼︎」

奴は背後にいたシャロン団長…と言われるお爺さんを見つけた途端助かったと言わんばかりにパァァと顔が明るくなりギュッと抱き付いた

こいつが団長…

「…たまたま近くを通りかかっただけだ。このまま見殺しにするのは寝覚めが悪いからな」

「これはこれは、私達はこんな御強いお方に通り掛かられて本当にラッキーでした」

ふぉっふぉっと柔らかい笑い声を上げながらギルの灰色がかった髪を手で梳く

ところで…とシャロンの目がこちらに向けられる

「どうやってこのモンスター達を倒したか聞いても?」

「見たままだ。水と風の魔法を使ったんだ」

ほぅ…と空いている手で顎髭を撫でながら読めない笑顔で続きを促す

「ここは先程まで雨が降っていた。だからこの周りに浮遊している水を利用してここ一帯の温度を下げ霧を作り出し、更に極限まで下げて氷を作り風で飛ばした」

「なるほど。他の魔物にある裂傷はそれなんですね」

「そうだ」

普段から魔法を使い慣れている奴なら誰でも出来る魔法だ。ここで派手にやれば怪しまれるしな

「だが、ここまで鮮やかに、しかも同時に魔物達へ致命傷を与える程の高位の魔法を使うのは並大抵の魔力と知識ではないですよね?」

「コントロールの問題だ。魔力はそれ程必要としない」

これも事実だ。確かに知識は必要だが魔力は最小限に止めている