白い雛鳥



思わず後ろを振り向けばそこには全身真っ黒の誰かがいた

上から声がしたと思ったけどそれは僕がいつの間にか腰が抜けて尻餅をついていたからだった

「あなたは…だれ?」

「答える必要がない」

中性的な声…それでいて淡々とした口調で僕を突き放す

だけど腰が抜けた僕にほっそりとした白い手を差し伸べてくる辺りそれほど冷たい人?ではないのかな

僕はその手を掴みまだふらふらする足を叱責し、しっかりと地に足をつける

「ありが「お前は馬鹿か」」

え…え⁉︎

とりあえずお礼を言おうとしたらすかさず罵声を被せられた

ここは街灯が1つとしてない脇道。おまけにこの誰かさんはフードを目深に被っているから余計に顔が見えない

「自分があの低脳な奴等に充分勝ると自惚れていたんだろ。お前の闇の魔力は確かに強いがこの国では通用しない。特にモンスター相手だとな」

「………ッ」

僕はハッと息を呑む

そうだった…クロンは闇の魔力で溢れかえった国。自分が持つ同じ闇属性の魔力が増幅するが、ここのモンスターはその魔力を糧に生活している

ここにいれば誰もが一時的に闇の魔力を纏う。勿論、使えるかは自分との相性と才能次第だが

この大きさのモンスター達はこの辺りに漂う魔力を取り込むだけでは到底足りない。そうなれば他の手段で飢えを凌がなければならない

相手の魔力を直接喰う…か


今は真夜中。僕達は格好の餌だったに違いない