私はネルの頭を一撫でして彼女が握りしめたままのネックレスをそっと取り上げる

「ああ…クロンは元々治安が良くない。だから私もあまりそこの依頼は受けないようにしているから現在の情勢を詳しくは知らないが…

まずはこのネックレスを早く持ち主に返したほうが良いようだな」

キラリと漆黒の宝石が光る

このネックレスは一体何が隠されているのだろう…

問い掛けても応えてくれるはずもなく、私は再びケースに戻し布袋に突っ込むとユングの元へ行く

ユングは頭を下げ嬉しそうに私に身体を擦り付けた

「ユング、お前の故郷へ連れて行ってくれないか?」

キュウ…という鳴き声を上げると私の服を嘴で掴み、ぽいっと上に投げた

私は空高く浮き上がると体制を整えながら軽々とユングの背中へ着地した

「え、は?もしかして、俺も同じように?」

先ほどメンリルに殺られそうになった事が若干トラウマなのか顔を引きつらせて後退りをする

「観念しろ駄犬」

ニヤリと不敵に笑うとユングにやれと命令する

キュオーンという可愛らしい返事と共に
シノは私より遥か上に飛ばされた