白い雛鳥



倒れているシノを足蹴にして無理矢理起こすと、苦笑しているネルに声を掛ける

「…随分大きくなっていないか?前まで私一人乗せるのがやっとの大きさだったぞ?飯の食わせすぎか?」

ネルが連れてきたのは体長10m程の大きな八咫烏

私が契約をしているクロンの国にいる鴉の神獣で、今回ネルにの元へ来た理由の一つはこいつを取りに来る為だ

ユングは彼女の横で艶やかな黒い羽を嘴でつつき、漆黒の瞳を少し伏せ、羽繕いをしている様は何処か気品を感じさせる

『契約した獣は主人の魔力の大きさに比例して成長するのヨ?リィナちゃん国ごとに神獣と契約しているのにユングちゃんがこんなにおっきくなるなんて…ほんとリィナちゃんって謎よねぇ』

「…どういうことですか?」

少しの間ふらついていたが漸く復活したシノは不思議そうに首をかしげる

『神獣は不思議な事にその国の中でしか本来の力を発揮できないノ。だからリィナちゃんはそれぞれで契約を結んで最大限彼等を活かしていル。でも、契約すると彼等は主人の魔力を糧に生活しなければならなくなるノ。

しかもそこらに彷徨いているモンスター達とは違って神獣は魔力の喰いっぷりが半端ないのヨ。それを五体だなんて…普通の人間なら完全に許容オーバー』

「つまり死に直結する程の大量の魔力を彼らに送っていると」

『そ。でもリィナちゃんはなんらかの方法を使って彼らと生活している。その秘密を教えてくれないけどネ』