白い雛鳥



-リィナside-

シノの言葉には裏がある

それに気付かないほど伊達に側においていたわけではない

出会った当初は手の付けられないほど荒れ狂った獣だったというのに、今では自分の内に隠す狂気を必死に抑え込もうとしている辺り、随分可愛らしくなったものだ

私は握られた手を握り返す

今度はシノがびくりと体を震わせ、やがて顔が苦痛に滲み始めた

「リィナさ……





いっ!!痛い痛い!痛いです!骨折れるんで力緩めてくれませんか!!」

「なんだ情けない。女に手を握られたぐらいで悲鳴をあげるなんて」

くつくつと笑いながら素直にパッと離してやるとすぐさまシノは手を閉じたり開いたり手首を回したりを繰り返し、異常がないか確かめる

「リィナさんは女の子ですけど、力は俺よりあるんですよ!下手したら死にます!」

「そうだ、私は強い。お前よりもな。だから、駄犬に心配されるような事など何もない。勿論、この先ずっとあの男の話をするつもりもない」

「………っ」

シノの顔が再び曇る

まぁ、あからさまに一線を引いたのだからヘコむのも当然か