-リィナside-
メンリルの飛行速度が速かったお陰かネルの住む村はものの数分で見えてきた
ネルの住む村…というかどちらかといえば施設に近いか
周りは見えないよう厳重な柵に囲まれており、中はどこかの研究所みたいな冷たい外観の大きな建物が一つ。初めて訪れた人は誰でもここに多くの神獣がいるとは思わないだろう
上空は一見自由に見えるが、強力な結界が張り巡らされており、裏で高額な値段で取り引きされる神獣を狙う者を寄せ付けないようにしている
国ごとにこういった施設が置かれており、ネルはこの国、シロンを取り仕切っていて、実は少し偉い人だったりする
おもに、神獣使いは獣人が多い。
理由は様々だが、一番の理由は獣人は種族の中で一番力が強く身体も強固であり、もし神獣が暴れた時、力で捩伏せる事ができる為だ
強い者を好む神獣が懐き易いという理由もある
メンリルから降りてネルの後ろをついていくと、大きな鉄の門が見えてきた
『………』
門の前には鎧を着た熊の獣人が一匹物凄い威圧感を放っていて、隣にいるシノは思わず眉を潜める
『やほーい♪ネル様が戻ってきたよん♪』
そんな門番さんもなんのその。ネルはニコッと人懐こい笑みを門番に向けると、門番はギロリと私たちを睨んだ
『…ネルか…それにシノと…其奴は?』
『もーっ!チョープリティーな私のリィナちゃんだよン!』
ギューっと抱きつき擦り寄るネルにあのクマ野郎はしばし考える仕草をして、思い出した途端にあからさまに嫌な顔をする
『リィナ?ああ…あの生意気でチビの小娘か。一応、本人確認させてもらおう』
…よく本人の前でそんな毒が吐けるな
何か反論しようとする前にシノがくってかかる
「お前…リィナさんを侮辱したな?」

