「…もう。リィナさん無邪気に遊んでる姿も滅多に見れないので大変可愛いらしいんですけど俺の話も聞いてください…」
『あはは♪シノくん素直ダネ☆リィナちゃーん!仲良く遊んでるとこ悪いけどシノくん痺れ切らしちゃってるからサッサと本題にうつりまショ☆』
「…ん」
シノとネルの声に反応したリィナは小さく頷き、最後にメンリルを一撫でして2人の元へ戻っていく
メンリルは彼女の背中を暫く見つめた後大きな欠伸をしながら翼をたたみ、脚を崩して寝る態勢に入った
「で、リィナさん?こんな場所に神獣使いなんか呼んでどうするつもりなんですか?」
「本当はもう少し歩く予定だったがお前が歩くのが嫌そうな顔をしていたからこいつを呼んだんだ。今からネルの村に行ってユングを取りに行く」
バレていたのか…
すみませんと苦笑して謝れば、「いい。どちらにしろネルを呼ばなければ村には入れないし、何よりお前の驚いた顔が見れたからな」とフードからチラリと顔を覗かせ思いがけず綺麗な笑みを見せられたので顔が熱くなるのが分かる
「それで、ユングとはな…『ユングちゃん…ってコトはクーロン(悪魔領)に行きたいんだ♪で、シロンは私の管轄だから呼び出したって訳ね』
「ん。だから案内してくれ」
『そーいう事ならお任せあれ☆』
「リィナさん…」
自分の言葉が遮られてしまい軽く凹んでいる間にどんどん話は進められ、ネルは先程目を覚ましたメンリルの元に駆け寄り話をすると姿勢を低くした神獣の背中に飛び乗る
『さぁっ!乗った乗った!』
相変わらずのハイテンションで手招きするネルにリィナもそれに倣い、軽やかにジャンプする
「…どうした。早くしろ」
「あ、はい…」
もう、とりあえずは何も考えず付いていくしかないか
シノは考えるのを放棄して獣人屈指の跳躍力を使いメンリルに飛び乗る
それを確認したメンリルは大きな翼をはためかせ強風を巻き上げながら地上を飛び立ったのだった…

