銀色に輝く巨大な獣は足元から出て行ったシノを興味深そうにじっと見ている

頭部から頸部にかけて伸びるよく手入れされたフサフサの鬣に口から覗くのは少し力を入れられたらすぐに食い千切られそうな鋭利な牙

おそらくネコ科動物だと思うが、少しも可愛げはない。むしろ喰われそうな恐怖を感じる

そして、一際目を引くのはその大きな翼

それは…

「シャルベーシャ(有翼獅子)か。そいつはミロ(天使領)の神獣の筈だがどうした?」

おもむろに口を開いたリィナは迷わずフードを外してメンリルの近くに寄ると、おずおずと顔を近づけてきた獣を優しく撫でてやる

ゴロゴロと喉を鳴らし嬉しそうにすり寄るメンリルに彼女の顔は綻び、シノは頭がついていかない


『おー♪ちょっと出張でそっちに行った時になんか懐かれちったノ☆』

ヨッという掛け声と共に大きな獅子から1人の影が飛び降りてきてリィナは視線をそちらへ移す

ピンと立った長い耳に大きなルビーの瞳
、笑うと二本の可愛らしい前歯が顔を覗く

豊満な胸を申し訳程度に隠した迷彩柄の服に下半身はミニスカートでサイドに編み目があり、しなやかな長い脚をこれでもかと晒している

足に巻いたベルトには銃やナイフなど無数に付けており顔に似合わず好戦的な獣のようだ


『どうも♪そこのワンコちゃんの事はカイアでは凄く有名だからよくしってるワ♪でも、そっちは知らないようだから一応自己紹介しようカナ?わたくし、神獣使いで兎のネルって言います♪よろしくネ☆』

「…神獣使い?」

聞き慣れない言葉にシノは首を傾げた